潰瘍性大腸炎の症状と原因:食事や治療法のガイドライン|完治は可能?薬は何が効く?

慢性的な下痢や血便に、一か月以上も悩まされている──。
ちょっとしたことでお腹の調子が悪くなり、一日に何度もトイレに駆け込んでいる──。

もしあなたが、いまそんな状況に陥っているとしたら・・・
それは「潰瘍性大腸炎」を患っている可能性があります。

潰瘍性大腸炎は、その名の通り、大腸に「潰瘍」「炎症」が発生する病気です。
この病気は、発症のメカニズムについて不明点が多く、厚生労働省から難病指定を受けています。

この記事では、潰瘍性大腸炎の症状や原因、食事の際に気をつけるべきことや治療法などについて、詳しく解説をしたいと思います。

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潰瘍性大腸炎の症状とは

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に潰瘍(かいよう)や炎症を発生させる病気です。

主な症状は、腹痛を伴う下痢や血便です。
症状が悪化すると、腸の機能が低下して、食べ物から栄養を吸収する力が弱まり、貧血や体重の減少などを招くことがあります。
症状がひどいときには、発熱が生じることも少なくありません。

完治が難しく、治療により症状が寛解に至っても、再発することが多い病気です。
また、再発するごとに症状が重症化していく傾向もあるとされます。

潰瘍性大腸炎と感染性胃腸炎の違いについて

下痢や血便などの症状は、ウイルスや細菌などに感染して発症する「感染性胃腸炎」にも共通するものです。

しかし感染性胃腸炎の場合は、便が水下痢となることが多く、症状も1~2週間程度で快方へ向かうことが特徴です。
潰瘍性大腸炎の場合は、便の粘性が高いことが特徴で、症状は数か月単位で、あるいは年単位で続くことが珍しくありません。

潰瘍性大腸炎を発症する原因とは

前述のように、潰瘍性大腸炎は発症のメカニズムが解明されておらず、この病気の原因はいまだに詳しいことがわかっていません。

有力な説の一つに、「何らかの要因で、大腸の自己免疫機能に異常が発生し、潰瘍や炎症を引き起こす」──というものがあります。
食事の欧米化や、食べ物に含まれる添加物の影響、精神的ストレスなどが、そうした要因の一つとして挙げられることもあります。

また、潰瘍性大腸炎は遺伝する傾向があると考えられています。
潰瘍性大腸炎、もしくはクローン病の発症者の5人に1人が、同じ病気を持つ近親者を有する──という研究が報告されています。

潰瘍性大腸炎の治療法について

潰瘍性大腸炎には特効薬がありません。
そのため、治療は対症療法が主となります。

潰瘍性大腸炎の治療として一般的に用いられるものには、患部の炎症を鎮め、症状を抑える効果のある「5-ASA製剤」が挙げられます。
以下に、症状が軽症、もしくは中等症である場合の、潰瘍性大腸炎(UC)の具体的な治療方針の一例を紹介します。

UCは、軽症~中等症であれば5-ASA製剤(ペンタサ、アサコール、サラゾピリン)の経口薬と注腸剤、坐剤を基本とした治療を行っています。5-ASA製剤は潰瘍性大腸炎治療の基本薬で炎症を抑えるのみでなく、良い状態を維持する(寛解維持)のにも中心となる薬です。

炎症性腸疾患(IBD)の診療 – 聖路加国際病院

潰瘍性大腸炎の症状が重い場合は、副腎皮質ステロイド薬を用いたステロイド療法などが検討されます。

その他、潰瘍性大腸炎やクローン病の新しい治療法として、顆粒球吸着療法(かりゅうきゅうきゅうちゃくりょうほう)があります。
薬物療法で症状の改善が見られなかった場合の選択肢として、近年注目を集めています。

潰瘍性大腸炎の外科手術について

潰瘍性大腸炎の治療の主流は、上述の内科的治療法であり、大半のケースで症状の改善を見込むことができます。
しかし、内科的治療法による治療を尽くしても症状の改善が見られない場合は、外科手術が検討されることになります。

潰瘍性大腸炎の外科手術は、大腸全摘術──すなわち、大腸をすべて取り除くという手術を行うことが一般的です。
重度の潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜のほとんどに潰瘍や炎症などの病変が生じてしまっているため、一部切除ではなく、全摘を検討せざるを得ないのです。

大腸全摘術の予後について

次の資料によると、大腸全摘術を行った場合の予後は”良好”であるとされます。

便が少し漏れることもありますが、日常生活は仕事、遊び、食事を含めて通常制限はなく、女性では出産も可能です。小腸が徐々に大腸の代わりをすると考えられています。大腸全摘、永久的回腸人工肛門造設術の患者さんも十分に社会復帰します。

潰瘍性大腸炎の外科手術を行った場合、手術後の経過や腸の機能

なお、大腸の全摘後は、小腸の末端を用いて「回腸嚢」という便を溜める袋を作ることが一般的です。
回腸嚢を作成することにより、人工肛門を回避し、肛門を温存することが可能となります。
ただし、術後は回腸嚢に炎症が生じる「回腸嚢炎」という病気を発症する可能性があります。

潰瘍性大腸炎の治療において心掛けておくべきこと

潰瘍性大腸炎は難治性で、再発も起きやすい病気です。
そのため、医師と患者の双方が根気よく病気と向き合い、時間をかけて治療していくことが求められます。
必ずしも完治にこだわるのではなく、症状をコントロールし、病気と上手につきあっていく姿勢が大切です。

潰瘍性大腸炎の治療を受ける上でやってはいけないことは、「自己判断による治療の中断」です。
治療を受けているのになかなか症状が改善しないと、病院に足を運ぶことにも嫌気が差してしまうかもしれませんが、中途半端な状態での治療の中断は、症状の悪化を招く大きな要因となります。

現在受けている治療に不満や疑問点があれば、セカンドオピニオンを受けるなどして、幅広く専門家の意見を仰いでみることをおすすめします。

潰瘍性大腸炎を患う人の食事について

潰瘍性大腸炎を患っている場合、食事内容については、医師や管理栄養士などの専門家の指示に従うことが原則となりますが、基本的な方針としては、次のようなものが挙げられます。

下痢や腹痛などの症状が激しい場合は、胃腸に負担をかけない食事を心がけることが第一です。
おかゆやうどん、白身魚や半熟卵など、お腹に優しい食べ物を選んで摂取することを心掛けてください。
野菜や果物、海藻類などは、食物繊維を多く含み、消化に時間がかかりますので、摂取は控え目にすべきです。
また、アルコールの摂取は極力控えてください。

比較的症状が落ち着いている寛解期の場合は、極端な食事制限は必要ないとされますが、暴飲暴食や偏食はNGですし、高脂肪の食事やアルコールの摂取などは控え目にすべきです。

口にして胃腸の調子が悪くなった食べ物や飲み物は、その影響の度合いも含めて都度記録しておくと、後々の体調管理や食事のメニュー作成などに役立ちます。

潰瘍性大腸炎と大腸癌の関連性

10年近い長期間にわたって潰瘍性大腸炎を患った人は、そうでない人と比べて、大腸癌を発症するリスクが高くなると言われています。

現在、症状が落ち着いて寛解状態にある人も、長期にわたって潰瘍性大腸炎を患った経験のある人は、定期的に内視鏡検査などで、大腸の状態をチェックすることをおすすめします。

潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン

潰瘍性大腸炎には、「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」がまとめた診療ガイドラインが存在します。

このガイドラインは、医療提供者向けの情報であるため、専門的な用語が多く、言い回しも一般の人には難解なものが多いのですが、その分、内容は非常に充実しています。
潰瘍性大腸炎に関する、詳細で間違いのない情報を入手したいという場合、この「潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン」を参照してみることをおすすめします。

潰瘍性大腸炎の診療ガイドライン

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