強迫性障害とは?その症状と原因、克服への道筋について

近年、「強迫性障害」の症状に苦しむ人が、その数を増やしていると言われます。

日本においては、「心の病」についての認知度やリテラシーが高いとは言えず、この強迫性障害についても、その実態を把握している人は決して多くありません。

しかし強迫性障害という病気は、決して我々一般人と縁遠いものではないのです。

たとえばあなたも、「なんだか手が汚れているように感じて、実際は大して汚れてもいないのに頻繁に手洗いしてしまう」といった経験はないでしょうか?

あるいは、外出時に玄関ドアや窓の鍵をかけたかどうか気になり、事あるごとにUターンしてチェックするような人が、周囲にいないでしょうか?

あなた自身がそうでなくとも、身近な友人や親兄弟、あるいは子どもに、そのような癖や傾向を持つ人がいないでしょうか?

通常、このような行動をとる人は、「綺麗好き」とか「心配性」などと言われ、病気ではなく個性や性格として認識されるケースが多いものです。

しかしこれらの行動は、強迫性障害の典型的な症状なのです。

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強迫性障害の典型的な症状とは

では改めて、強迫性障害の代表的な症状についてご説明しましょう。
あなたも、自分にこれらの症状が当てはまらないか、ぜひチェックしてみてください。

症状1:繰り返してしまう手洗い、汚染に対する過剰な心配や恐怖心

強迫性障害において最も多い症例の一つに、前述した「汚染に対する過剰な心配や恐怖心」があります。
強迫性障害を患う人の4割以上に、この症状が見られると言われています。

エスカレーターの手すりや、エレベーターのボタン、通貨や紙幣、電車のつり革など、普段何気なく手を触れるような公共物がとても汚れているように思えて、これらに触れたのちは、徹底的に手を洗わなくては気が済まない──などが典型的です。

トイレに行ったあとや、鼻をかんで手指に鼻水がついたときなどは、ふつうは手を洗うのが一般的と言えますが、こうした場合も強迫性障害を患う人は、「本当に手は綺麗になっただろうか」「汚れている部分が残っていないだろうか」と不安になってしまい、何度も手洗いを繰り返してしまいます。

症状2:加害に対する恐怖

強迫性障害の症例の中で、「汚染に関する不安」の次に多い症状が「加害に対する恐怖」です。

家族や友人、会社の同僚たちと交わす何気ないやりとりの中でも、「自分は相手を傷つけてしまっていないだろうか」「相手の気分を害してしまってはいないだろうか」と不安に陥ってしまったり、その不安を解消するため、相手にしつこく「気を悪くしていないか」などと確認したりします。

車を運転していても、ちょっと振動を感じただけで「どこかにぶつけてしまったのではないか」「人を轢いてしまったのではないか」などと不安に陥り、Uターンしてチェックしないと気が済まない──なども典型的な症例です。

他にも、「自分は突発的に、暴力行為やテロ行為を犯してしまわないか」という妄想的な考えに囚われてしまうこともあります。

症状3:「確認」への強迫観念

冒頭でも例に挙げた、「確認」への強迫観念も、強迫性障害の典型的な症状です。

玄関ドアや窓の施錠忘れ。
アイロンやクーラー、暖房器具などの電化製品のスイッチをオフにしたかどうか。
スマートフォンや財布を落としていないかどうか。

そうしたことが気にかかり、異常なほど頻繁にチェックしてしまう行為が、これにあたります。

仕事においても、ミスを犯すことに対する過剰な恐怖心から、他の作業に支障をきたすほどに、あるいは残業を厭わずチェックを繰り返すことがあります。

こうした行為は、「完璧主義者」「心配性」などと認識されることが多く、本人も周囲も、これが強迫性障害の症状だとは気がつけないケースが多いとされます。

強迫性障害を発症する原因と、なりやすい人

強迫性障害を発症する原因(要因)として考えられている要素は、主に3つあります。
以下に、一つずつ解説していきましょう。

原因1:精神的なストレス

人間関係や、仕事に関するストレス。
女性であれば、妊娠や出産なども、大きなストレスの要因です。

こうしたストレスが積み重なったタイミングが、強迫性障害の発症の引き金となることが多数報告されています。

原因2:遺伝的要因

まだ研究段階ではあるものの、強迫性障害の発症には「ある種の遺伝的要因」が存在することが、複数の研究機関により報告されています。

強迫性障害の患者の、両親や子ども、あるいは親族について調査を行ったところ、強迫性障害を発症する割合が通常よりも高かったそうです。

原因3:脳や神経の機能異常による副次的な発症

強迫性障害は、「パーキンソン病や、ある種の感染症などの、脳や神経の機能異常を引き起こす病気」と関連性があるという研究報告があります。

この場合、強迫性障害は精神的なストレスや遺伝的要因による発症とは異なり、副次的に発症する病気ということになります。

強迫性障害になりやすい人は、どんな人?

強迫性障害を患う人に多く見られる性格的特徴としては、次のようなものが挙げられます。
・完璧主義者。
・真面目。
・几帳面。
・綺麗好き。
・神経質。

このような性格的特徴は、強迫性障害を発症する要因の一つとして見なされています。
しかし、「これらの性格にあてはまらなければ、強迫性障害にはならない」というわけではありません。

何事も大ざっぱで、神経質とは無縁であった人が、ちょっとしたストレスがきっかけで強迫性障害にかかってしまった、というケースもあるのです。

強迫性障害の治し方

強迫性障害の治療法には、主に薬物療法認知行動療法の二種類が挙げられます。

薬物療法は、症状の改善に即効性が期待できますが、薬は人によって合う・合わないが存在するため、いくら薬を飲んでもまったく症状が良くならない、といったケースもあります。
また、対症療法的な側面が強く、薬物療法による強迫性障害の根治は難しい、と指摘する声もあります。

認知行動療法は、過度な完璧主義や神経質といった、強迫性障害の要因となっている自身の傾向を認知・改善していくことで、症状を緩和させていくアプローチです。
即効性は期待できず、治療には長い時間と労力が必要となりますが、再発予防や根治に優れているという評価があります。

どちらにしろ、強迫性障害の治療には専門家による支援が必要不可欠です。

強迫性障害と闘う有名人

上で述べたように、強迫性障害はとても身近な病気であり、どんな人であっても発症リスクを少なからず抱えています。

有名人や著名人といった人の中にも、強迫性障害に悩みを抱える人は少なくありません。
なかには、「え、この人が強迫性障害だったの?」と驚いてしまうような有名人もいます。

以下に、自分が強迫性障害であることを公表した有名人をピックアップしてみましょう。

デイビッド・ベッカム

サッカー選手として一時代を築き上げたデイビッド・ベッカムさんは、あるイギリスのテレビ番組のインタビューにて、自身が強迫性障害であることを明かし、大きな反響を呼びました。

彼に表われた症状は、「整理整頓に対する強迫観念」や「物がペアになっていないと気が済まない」というものです。

例えば、初めて訪れたホテルなどでは、まず室内の数々の小物を自分の思い通りに整理整頓しないと気が済まないそうです。

また、コーラの缶を冷蔵庫に入れるときも、「ペア」であることにこだわり、コーラの缶の合計が奇数個になってしまう場合は、その仲間外れのコーラを冷蔵庫から取り出してしまうそうです。

鬼龍院翔

ヴィジュアル系エアーバンドの「ゴールデンボンバー」として活躍する鬼龍院翔さんは、自著にて強迫性障害を患っていたことを語っています。
観る者を楽しませるエンターテイナーとして活動しながらも、その裏では容姿などのコンプレックスに苦しんでいたそうです。

キャメロン・ディアス

ハリウッドスターとして名高い、女優のキャメロン・ディアスさん。
彼女は、強迫性障害の症状として典型的な「不潔に対する恐怖・衛生的であることへの固執」に悩まされていると告白しています。

特に、公共施設のドアノブなどは手で触れることができなかったと言います。
「洗浄強迫」の症状も表われており、日に何度も何度も手を洗ってしまうそうです。

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