甲状腺機能低下症Q&A:原因と症状、治療法や食事について|先天性と後天性の違いは?妊娠に影響は?

「最近、なんだか身体がだるい」
「お肌がやたらと乾燥するようになった」
「食生活には気をつけているのに、便秘がち」

もし、あなたが日々そのような慢性的な不調に悩まされているとしたら・・・。
それは「甲状腺機能低下症」という病気を患っているのかもしれません。

甲状腺機能低下症は、「この病気特有の症状」というものがないため、別の病気、あるいは疲労や加齢の影響による不調と見なされてしまいがちな、厄介な病気です。

この記事では、この甲状腺機能低下症という病気について、その原因と症状、治療法などについて、詳しく解説をしたいと思います。

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甲状腺機能低下症とはどんな病気?

甲状腺機能低下症とは、その名の通り、「甲状腺」と呼ばれる臓器の機能が、何らかの要因により低下してしまう症状のことです。

「甲状腺」とは、喉仏の下部に位置する、小さな臓器です。
甲状腺にて生成される「甲状腺ホルモン」は、身体の新陳代謝を整える重要な役割を果たしています。
甲状腺の機能が低下すると、新陳代謝が正常に働かなくなり、次に示すような様々な症状が引き起こされます。

・倦怠感があらわれる。
・注意力が散漫になる。
・活力が湧いてこない(無気力状態)。
・寒がりになる。
・肌が乾燥する(汗が出にくくなる)。
・むくみ(浮腫)が生じる。
・便秘がちになる。
・抜け毛が多くなる。

冒頭で述べたように、甲状腺機能低下症の症状は、「この病気ならでは」といった特徴がありません。
そのため、甲状腺機能低下症を発症していても、医者ですら、患者にあらわれている症状が「甲状腺機能低下症に起因するもの」と察知できないことが珍しくありません。

甲状腺機能低下症を発症する原因は?

甲状腺機能低下症を発症する原因として、最も大きな割合を占めるのが、後述する「慢性甲状腺炎」です。
そのほかには、バセドウ病の治療や、甲状腺にできた腫瘍の切除手術を受けた人などにも、発生しやすいとされます。

甲状腺機能低下症の治療法は?

甲状腺機能低下症の治療は、主に「甲状腺ホルモン剤」の内服によって行われます。
「甲状腺ホルモン剤」は、甲状腺ホルモンを主成分とした薬剤です。
甲状腺ホルモンは、もともと甲状腺で作られる物質であるため、この薬剤も副作用はほぼなく、非常に安全な薬です。

体内の甲状腺ホルモンの分泌量を測り、足りない分だけを「甲状腺ホルモン剤」で補うようにします。
甲状腺ホルモンの分泌量は変化することがあるため、定期的に分泌量の測定を行い、分泌量が変化した際は、それに合わせて内服する薬の量を調節する必要があります。

なお、甲状腺機能低下症と診断された場合でも、一定量の甲状腺ホルモンが分泌されているならば、ホルモン剤の内服は必要とされず、経過観察となります。

甲状腺機能低下症の妊娠への影響は?

甲状腺機能低下症の妊娠への影響について、専門機関は次のように述べています。

最近、外国から母体の甲状腺機能低下症は軽度であっても後々子供の知能の発育に影響するという論文が出ました。これが日本でも当てはまるかどうか判りませんが、妊娠中は母体の甲状腺機能を正常にコントロールしておくべきです。

甲状腺機能低下症と妊娠 – 野口病院

なお、後述する「慢性甲状腺炎」についても、妊娠や出産をきっかけとして症状が強くあらわれる場合があるため、妊娠が判明した段階で、甲状腺ホルモンの分泌量を定期的にチェックすると良いでしょう。

先天性の甲状腺機能低下症とは?

甲状腺機能低下症には、先天性と後天性があります。

先天性の甲状腺機能低下症は、生まれつき甲状腺から甲状腺ホルモンが正常に分泌されない状態のことを指します。
適切な措置が施されない場合、心身の発育に悪影響を及ぼします。

ですが日本においては、新生児に対して甲状腺機能低下症を始めとする「先天性代謝異常症」のスクリーニング検査が行われていますので、異常が見つかった場合には、速やかに医師による治療が施されます。

先天性の甲状腺機能低下症に対する治療の主な内容は、甲状腺ホルモン剤の投与です。
適切にホルモン剤の投与が行われれば、同病気を患っていたとしても、発育への悪影響を最小限に抑えることができます。

甲状腺機能低下症の疑いがある場合は、何科にかかればいい?

甲状腺機能低下症の診断と治療は、主に内科の担当となります。
ただ、「甲状腺の病気専門の病院(甲状腺外来)」なども各地にありますので、インターネットなどで居住地の近くにそうした専門病院があるかどうか、探してみるのもおすすめです。

慢性甲状腺炎とはどんな病気?

慢性甲状腺炎は、何らかの要因により甲状腺が炎症を起こし、甲状腺の痛みや腫れ、発熱などの症状を引き起こす病気であり、「橋本病」という別称でも知られています。

炎症により甲状腺がダメージを受けると、甲状腺ホルモンの分泌量が低下し、前述の「甲状腺機能低下症」を引き起こすこともあります。
※慢性甲状腺炎が、必ずしも甲状腺機能低下症を伴うとは限りません。

通常、甲状腺は触診することができない臓器ですが、炎症が進行して甲状腺の腫れが顕著になると、触診が可能になります。

慢性甲状腺炎を発症する原因とは?

慢性甲状腺炎を発症する原因は、いまだ不明点が多く、はっきりとしたことがわかっていません。
しかし、自己免疫が異常に活発化し、甲状腺に悪影響を与えているとする説が有力です。

免疫細胞が異常に活発化するきっかけの例としては、精神的なストレスを強く受けたときや、女性の場合は妊娠・出産時などが挙げられます。

慢性甲状腺炎と診断された場合の注意点は?

慢性甲状腺炎を患っている場合に、ヨード(ヨウ素)を含んだ食べ物やサプリメントなどを大量に摂取すると、甲状腺の機能低下を招く可能性があります。

普段の食事においては、ヨードを多量に含む食べ物、例えば昆布やわかめなどの海草類を食べる場合は、食べ過ぎに注意する必要があります。
また、イソジンなどのヨードを含むうがい薬なども、慢性甲状腺炎を患っている際には、使用を控えるべきです。

甲状腺に何の異常もない人の場合は、ヨードの摂取量について過度に気にする必要はありません。

慢性甲状腺炎の治療法は?

慢性甲状腺炎の治療には、主にステロイド系の消炎剤・鎮痛剤が用いられます。
これらの薬剤の使用は対症療法であり、甲状腺の痛みや腫れ、発熱などの症状を和らげることを目的としています。
症状が重度で、消炎剤・鎮痛剤の使用で改善が見られない場合は、甲状腺を取り除く手術等が検討されます。

なお、炎症だけではなく甲状腺の機能低下が見られる場合は、前述の「甲状腺ホルモン剤」が処方されます。

どんな人がかかりやすいの?

慢性甲状腺炎は、男性よりも女性がかかりやすい病気として知られています。
成人女性の数十人に一人は、慢性甲状腺炎を発症しているとも言われています。

ただ、慢性甲状腺炎は発症しても、「症状がごく軽度で、自覚症状もあらわれない」というケースが少なくありません。

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