糖尿病の合併症Q&A:三大合併症の症状や予防法を徹底解説

日本では、四人に一人が「糖尿病あるいは糖尿病の予備軍」であると言われています。
そんな中、糖尿病の原因や症状、予防法などについての正しい知識を備えておくことは重要です。

そして糖尿病を罹患した人が特に注意しなければならないものが、「合併症」です。
糖尿病の合併症は重篤に至りやすいものが多く、この合併症を予防することこそが糖尿病と上手に付き合っていく上での最重要課題とも言えます。

この記事では、そんな糖尿病の様々な合併症について、詳しく解説をしていきたいと思います。

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糖尿病の「三大合併症」とは?

糖尿病の合併症には、「三大合併症」と呼ばれるものがあります。
神経障害網膜症腎症がそれに当たります。

以下に、この三大合併症について、詳しく解説をしていきましょう。

三大合併症その1:糖尿病性神経障害

糖尿病は、人体の末梢神経に障害が及ぼすことで知られています。
末梢神経には、自律神経、感覚神経、運動神経の三種類があり、これらに何らかの異常があらわれた状態を、糖尿病性神経障害と呼びます。

自律神経の障害

自律神経の障害が起こると、胃腸の機能が低下し、便秘や下痢、慢性的な胃もたれなどの症状があらわれやすくなります。
その他にも、立ちくらみや発汗異常、排尿障害など、さまざまな症状が引き起こされる可能性が生じます。

感覚神経の障害

感覚神経に障害が発生すると、手足にしびれ・麻痺などの症状があらわれます。
また、怪我をした際に痛みを感じなくなったり、触覚の違和感などの感覚障害があらわれることもあります。

感覚神経の障害による「痛覚の麻痺」は、時として「足の壊死」という深刻な事態を招く要因となることでも知られています。

痛覚が麻痺し、痛みを感じなくなってしまうと、足先に怪我や靴擦れ、水虫などが発生しても気づきにくくなります。
さらに、糖尿病を患っていると、感染症に対する抵抗力も弱まります。

こうした要因が相まって、「足先の傷から感染症が進行し、気がついたときには壊疽を起こしていた」という状態に陥ってしまうことがあります(糖尿病性壊疽)。

壊疽してしまった組織は、切除するほかありません。
つまり、足先が壊疽してしまった場合は、足を切断しなければならないのです。

こうした事態を避けるためには、日ごろから足先に異常がないかどうか、こまめにチェックする習慣を身につける必要があります。
糖尿病専門のフットケアを行っている医療機関もありますので、そういった施設を積極的に利用すれば、糖尿病性壊疽のリスクを下げることができるでしょう。

運動神経の障害

運動神経は、筋肉の動きを司る神経です。
糖尿病を発症すると、この運動神経が障害が発生し、筋肉の働きに異常が出ることがあります。

運動神経の障害により、特に発生しやすいのが、顔面神経麻痺動眼神経麻痺です。

顔面神経麻痺は、その名の通り、顔の筋肉が麻痺して思うように動かなくなったり、ひきつれて歪んでしまったりする状態です。
動眼神経麻痺は、目を動かす筋肉が麻痺して、眼球の動きに支障が出るようになる状態です。

三大合併症その2:糖尿病性網膜症

糖尿病性網膜症は、網膜の毛細血管が詰まり、破れやすくなる病気です。

平成3年に厚生省が発表した資料によると、2型糖尿病の発症後、5年未満の人は14%が、15~19年の人では57%が、網膜症の合併があるとされています。

初期の網膜症であれば、血糖値を適切な値に抑えることで症状の改善が見込めます。
しかし網膜症が進行し、広範囲にわたって毛細血管の詰まり・破れが生じると、最悪の場合、失明にまで至る可能性が生じます。

初期の網膜症は自覚症状があらわれないため、糖尿病を患っている人は定期的に眼底検査を行い、網膜症の発症の有無、進行の度合を確認することが重要です。

三大合併症その3:糖尿病性腎症

糖尿病を発症すると、腎臓の機能が低下し、老廃物を除去しきれなくなったり、体内のタンパク質を尿として排出してしまうなどの現象が起こります。
この状態を、「糖尿病性腎症」と呼びます。

初期症状としては蛋白尿のみで、顕著な自覚症状は出ません。
症状が進行すると、老廃物の蓄積や血液中のタンパク質の濃度低下により、むくみや疲労感、倦怠感などがあらわれるようになります。

糖尿病性腎症が重度に至ると、腎不全・尿毒症といった重篤な病気を発症する恐れがあります(人工透析を検討しなければならない状態です)。

糖尿病性腎症を発症した初期は、尿中に漏れ出ているタンパク質もごく微量となるため、一般的な健康診断の尿検査では検知することが難しいとされています。
しかし近年では、「尿中アルブミン検査」と呼ばれる検査により、初期の糖尿病性腎症を発見しやすくなっています。

糖尿病との診断を受けた場合は、定期的に尿中アルブミン検査を受けるなどして、糖尿病性腎症の早期発見に努めるべきと言えます。

「三大合併症」以外の、糖尿病の合併症は?

糖尿病の合併症は、上に挙げた「三大合併症」のみではありません。
以下に、糖尿病の合併症として起こり得る代表的な病気をご紹介しましょう。

狭心症・心筋梗塞

糖尿病を発症すると、血液がドロドロになり、血管が目詰まりを起こしやすくなります。
このような状態のときに発症リスクが高まる病気が、狭心症心筋梗塞です。

狭心症とは

狭心症は、冠状動脈と呼ばれる心臓の表面にある血管が動脈硬化を起こした結果、心臓への血液の流れが不十分になってしまう病気です。
身体を動かした際に、胸が痛い、息が苦しいなどの症状があらわれます。

心筋梗塞とは

心筋梗塞は、冠状動脈が閉塞し、心筋が壊死を起こしてしまった状態です。
心筋梗塞を発症すると、激痛や、強烈な胸の圧迫感、吐き気などに襲われます。
一刻も早く適切な処置を行わなければ、命に関わる病気です。

脳梗塞(脳卒中)

脳梗塞は、狭心症や心筋梗塞と同様に、ドロドロになった血液が血管に詰まってしまうことで引き起こされる病気です。
糖尿病の合併症の中でも、最も重篤な症状を引き起こす可能性が強い病気と言えます。

脳梗塞は脳の血管が閉塞することにより起こり、血流が途絶えた脳組織はやがて壊死します。
何の前兆もなく、突然に強い立ちくらみに襲われたり、昏倒する──などの事態が起こり得ます。
四肢の麻痺などの後遺症が残ることも多く、速やかに適切な処置を行わなければ命に関わります。

糖尿病を発症している人は、そうでない人と比べて、肝臓癌や腎臓癌などを発症するリスクが高まると言われています。

国立がん研究センターのコホート研究によると、「糖尿病の既往症がある人の癌発生リスク」は次の通りです。

男性では、肝臓:2.24倍、腎臓1.92倍、膵臓:1.85、結腸:1.36倍など(全部位平均:1.27倍)、
女性では、胃:1.61倍、肝臓:1.94倍、直腸:1.65倍、腎臓:1.36倍など(全部位平均1.21倍)

糖尿病の既往症のある人は、がん発生リスクがアップ

認知症

糖尿病を発症している人は、そうでない人と比べて、認知症を患うリスクが2倍になると言われています。

糖尿病の合併症を予防するには?

糖尿病の合併症を予防するには、まず第一に、医師の指導に基づいて血糖値を適切にコントロールすることが必要不可欠です。
そのためには、医師から指示された薬をきちんと服用し、食事療法や運動療法にも積極的に取り組む必要があります。

食事療法や運動療法への具体的な取り組み方は、糖尿病の進行状況や、合併症の発症の有無などによって異なりますので、信頼できる医師に指示を仰ぎましょう。
特に運動については、服用している薬との兼ね合いで、運動量や強度などに制限が設けられることもありますので、注意してください。

また、糖尿病の発症のきっかけともなる暴飲暴食は、精神的なストレスが背景にあることも考えられます。
心あたりがある場合は、ストレス要因を可能な限り排除することを心掛け、場合によっては心療内科などで相談をすることも検討すべきでしょう。

糖尿病の合併症で特徴的なのが、「初期症状が出にくい」という点です。
そのため、糖尿病が発覚した時点で、定期的に合併症を発症していないか検査を受け、早期発見に努めることが大切です。

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