共依存とは?自分では気がつけない、歪んだ恋愛関係や親子関係

共依存とは、ひとことで言えば、「お互いに依存し合うことで維持形成する人間関係」のことです。

恋愛関係や夫婦関係。
あるいは、親子関係や友人関係など、あらゆる人間関係において発生し得る問題です。

しかし、どのような人間関係にも通常、多かれ少なかれ「依存」の要素が存在します。

「あなたなしでは生きていけない」
「あなたがいるから頑張れる」

上記の関係性の中で、そのような「一種の依存」とも受け取れる主旨の台詞が使われることは、珍しくはないでしょう。

しかし共依存における「依存」とは、こういった「通常の関係性における依存」とは異なります。

以下に、共依存に陥った人たちの実例を挙げながら、共依存における関係性がどういった構造であるのかを説明したいと思います。

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共依存の事例:恋愛関係における「依存」の構造

実際にあった「恋愛関係における共依存」のお話しです。

大学生のA子さんは、一つ年上の先輩であるB男さんと交際をしていました。
B男さんは普段は優しいのですが、神経質な面があり、A子さんの些細な失敗にも苛立つそぶりを見せることがありました。

ある日、A子さんが同じサークルの男友達とおしゃべりをしていると、B男さんが、とても不機嫌な様子で近づいてきました。

A子さんが「どうしたの?」と尋ねる間もなく、B男さんはA子さんの腕を掴むと、乱暴な態度でA子さんを強引に連れ出しました。
そのまま他人の目の届かないところまでやってきて、ようやくA子さんの腕を離したかと思うと、B男さんは突然、A子さんの頬に張り手をしたのです

パニックに陥り、地面にへたり込んで震えているA子さんに向かって、B男さんは「あんなふうに他の男と話すな!」とわめき立てました。
A子さんはわけもわからず、必死に謝罪の言葉を並べました。

するとB男さんは、うって変わって優しい態度になり、それどころか「殴ってごめん」と涙を流しながら謝罪したのです。

B男さんの涙は、とても演技のようには見えず、A子さんは彼の謝罪を受け入れることにしました。
「彼をこんな行為に走らせてしまった自分にも、きっと至らぬ部分があったのだろう」
A子さんはそう考えたのです。

二人で泣きながら肩を抱き合い、謝罪をし合い、「今後は気をつける」「愛している」と言葉を交わしました。

しかし、事態はこれで一件落着とはいきませんでした。
その後もB男さんは、A子さんの些細な行動に、疑いの目を向けるようになったのです。

電話をしているとき。
スマートフォンをいじっているとき。
パソコンに向かっているとき。
用事があってB男さんに会えないとき。

A子さんの日常のあらゆる点に、他の男性の影がないかと、探るようになったのです。

さて、共依存についてのお話しは、ここからです。

通常の恋愛関係であれば、A子さんが「彼女を過剰に束縛する彼氏」であるB男さんを見限って別れる、という展開になるでしょう。
しかし、A子さんはそうしませんでした。
実はA子さんは、こうした彼氏の束縛を、心のどこかで「心地よい」と感じていたのです。

彼氏からの過剰な監視。
嫉妬により感情をコントロールできなくなり、振るわれる暴力。
これらは、自分に大きな存在価値を見い出しているからこそ、自分を愛しているからこそ生じるもの──。

無意識のうちに、そんな感情がA子さんの心を支配していたのです。

やがてA子さんは、B男さんの嫉妬を煽るような行動すら見せるようになります。
他の男性の影を自ら作り出し、B男さんを嫉妬させて我を失わせ、その感情に自らの身を晒すことで「ああ、自分は必要とされているのだ」と実感するのです。

この状態が、共依存です。

彼氏であるB男さんは、A子さんに嫉妬の炎を煽られることで、ますますA子さんへの執着を強くし、依存を深めます。
そして彼女であるB子さんは、そんなB男さんの姿を見ることで自身の存在価値を再認識し、それを失うまい、あるいはもっと強く感じたいと願い、B男さんの嫉妬を煽るのです。

共依存を招く「支配の構造」とは

恋愛関係や夫婦関係、あるいは親子関係や友人関係。
こうした「普通の関係」にも、多かれ少なかれ依存という要素がある、ということを冒頭でお話ししました。

では、これらの関係における「依存」と、共依存における「依存」との差異は、いったいなんでしょうか?

それは・・・
「支配」という要素が、その関係性に存在しているかどうかです。

共依存とは、「お互いに支配し合う」という関係性なのです。

前述のA子さんとB男さんの例で言うと、B男さんはA子さんに執着し、A子さんを自身の管理下に置こうと──すなわち、「支配」しようとしています。
そしてA子さんも、B男さんの執着を煽り、彼の感情をコントロールして、B男さんから自分の望む反応を引き出そうとしています。

お互いが、お互いの行動や感情をコントロールし、支配し合う関係性。
それこそが共依存なのです。

共依存を克服する!治療方針と、回復に向けた取り組みとは

共依存の関係は、長引けば長引くほど、「相手を支配する」という欲求がエスカレートしていきます。

そうした関係性における心身の負担はとても大きく、共依存は他の精神疾患の併発を招きやすいと言われています。
アルコール依存症や摂食障害、性依存症(セックス依存症)などは、その代表例です。

さらに厄介なのは、共依存に陥ってしまう人の多くは、「自覚がない」という点です。

併発した精神疾患──アルコール依存症や摂食障害などの症状を自覚することはできても、その引き金となった共依存については、「ストレスの原因となっている要素」と認識できないのです。

この「自覚が難しい」という性質こそ、ときに「蟻地獄」とまで言われる、共依存の恐ろしさです。

では、この忌むべき共依存から脱却するには、いったいどうすれば良いのでしょうか?

残念なことに・・・
現在、共依存の治療法は確立されているとは言えません。
共依存という概念が作り出されたのは近代のことであり、まだ治療法の歴史は浅いのです。

しかし、「確立されていない」というだけで、「治療の手立てがない」ということではありません。

例えば、心理療法的なアプローチ、いわゆる「認知行動療法」は、共依存の治療方針として有効性を認める声が多いものです。

認知行動療法とは、乱暴に言ってしまえば、「自覚を促す」ことです。

無意識に湧き上がる感情や欲求、無意識に行われる振る舞い。
その根底には何があるのか。
それらを自覚し、常に第三者的視点のフィードバックを重ねて問題改善を図っていくことで、症状を改善に導きます。

他にも、共依存の治療法には薬物療法なども存在しますが、どのような治療を受けるにせよ、最も大切なのは、「専門家によるカウンセリングを受けること」です。

共依存は、当人たち自身で状況を改善・回復することは極めて困難です。
共依存の治療に必要なものは、客観的かつ専門的な評価と分析です。
それができるのは、第三者となる専門家以外にはありません。

いま、あなたが共依存に悩んでいるとしたら、あるいは周囲に共依存と思わしき人たちを見かけたなら、ぜひとも専門家によるカウンセリングを検討してみてください。

共依存の治療、何科にかかればいい?

共依存というあまり聞き慣れない病名となると、「何科にかかればいいのか」と悩みを抱えてしまうかもしれません。

共依存の治療を扱う科は、心療内科、精神科、神経科が一般的ですので、こうした科を設けている病院にて受診すれば良いでしょう。

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